中国 巨大建造物 廃墟の街、ネットで話題に“脱貧困”のはずが・・・【Nスタ】
いま中国のネット上で巨大建造物が廃墟のように建ち並ぶ、ある地方都市が話題を集め、一部は観光スポットとなっています。この街は、中国政府が主導した「脱貧困」政策で豊かになるはずだったんですが、一体何が起きたのか。現地を取材しました。
●記者
「かなり仰々しい門が道に設けられていますね」
中国貴州省の中心都市から車で2時間半ほど離れた独山県。人口わずか36万人の小さな地方都市ですが、街中に入ると突如巨大な建造物が現れます。ところが・・・。
●松井 智史 記者
「こちらの建物、一見とても豪華に見えるんですが、足元をみるとまだ工事中なんですね。長い間工事がストップしたままとなっているということです。」
博物館としてオープンする予定だったということですが、1年以上前から建設がストップ。そのワケは、政府が費用を支払えなくなったからでした。
●独山県の住民
「このお金を、もっと庶民のために使うべきだ」
習近平指導部が最も重視してきたのは「脱貧困」です。そのため、地方政府が成果を競ってきましたが、長らく貧困地域とされてきた独山県もその一つです。2016年以降、当時の県トップが、中央政府が定める脱貧困目標を達成するため、観光開発や大学誘致など、ビッグプロジェクトを次々と立ち上げました。
ところが。一時は、雇用が増え収入も増えたものの、資金調達の滞りと共にトップの書記が汚職罪や職権乱用罪などで起訴され、2018年以降次々に計画は頓挫しました。中国メディアによりますと、残されたのは400億元、日本円で約6000億円もの債務でした。
●農民
「ビルの場所は、農民の土地だったところです。そこには誰も住んでいない。」
現在、貧困にあえぐ農民たちは土地を奪われただけでなく、建設作業に協力した給与さえ支払われていないといいます。
●農民
「生活はとても苦しい。泣きそうです・・・」
廃棄された鉄筋などを集めて売り、なんとか日銭を稼いでいるといいます。
こうした独山県のずさんなインフラ投資が話題となったのがネット上でした。様々な批判が相次いでいます。ただ、皮肉にも話題になったことで、高さ約100メートルの巨大建造物には観光客が訪れるようになっていました。
地方政府の幹部が自らの政治的な成果をアピールするために行われる過剰投資は、中国が今年中に達成するとした「脱貧困」の国家目標に暗い影をおとしています。
#中国 #脱貧困 #独山県
(Nスタ 8月26日放送)